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重松清『疾走』

Mon.08.10.2012 0 comments
重松清さんの『疾走』を読んだ。
以下ネタバレ含む読後のひとりごと。
この作品が好きな人にはあまり読んでほしくない内容になってしまった。

重松作品はたしか『ビタミンF』を読んだことがあるが、内容は全然覚えていない…
たまたま有名な作品のタイトルが図書館で目に留まったので借りてきた。

一言で言うと、不幸な人たちの不幸な物語と言った感じだ。
「ありったけの不幸を詰め込みました」系のお話だと私は感じた。
(非難している訳ではないです)

前半の、狭い町ならではの差別、偏見、閉塞感みたいな雰囲気はよかった。
そういうものが根付いた土地に生まれると、いいとか悪いとか好きとか嫌いとか判断するものではなくて、それが自然に染みつくものなんだろうとこの手の田舎町が舞台の物語に触れるたびに思う。
だからこそエリの毅然とした態度にすごく惹きつけられた。
しかし…
物語の終盤でエリが体を売ったという話が出てきて、失望じゃないが、好きな登場人物だったのになあ…と思ってしまった。
喪女だからかもしれないけれど、どうしても体を売るという行為に理解共感ができない。
現実でも物語でもだいたい理由は一つ、「寂しさを埋めるため」と決まっている。
そこに様々な御託がくっついていたりするけど。
エリも「ひとり」であることからそこへ走った。
「孤高」じゃなかったのか…
共感できないのはもちろん自分が真の「ひとり」を味わったことがないからかもしれない。

順調と思われた人生に段々と軋みが出てきて取り返しのつかなくなってしまった主人公の兄・シュウイチに関しては「もっとやりようあっただろ!」と思った。
彼にもう少し強さとか物事を広い目でとらえる視線があればもっとまともな人生を歩めた気がしてならない。
小説の中の架空の人物にそんなこと言ったって仕方ないけど(笑)

あと、性描写のシーンが嫌だったな。
ただの描写ならいいんだけど胸糞が悪くなるような…
それも筆者の狙いなのかもしれないけどね。
あそこまで書けるのは逆にすごい。

本当の「ひとり」とは何か?
そのような状況に陥った時、人はどのように考え、行動するのかということを疑似体験するための小説だと感じた。
主人公が中学生と考えれば思考や行動の幼さもさもありなんと思う。

それにしてもなかなかどの人物にも感情移入しにくい小説であった…
たまにはこんなお話もいいけど、求めていた後味の悪さとは違ったな。

読んでよかった点は、これに比べれば自分の人生のなんと生ぬるいこと!と思える点かな。
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